夜中に急にズキズキと歯が痛み出したり、休日に食事をしていて突然痛みが走ったり――歯の痛みは、こちらの都合を待ってはくれません。「歯医者はどこも休みだし、我慢するしかないのか」と不安になる方も多いのではないでしょうか。
両国駅から徒歩3分の当院にも、平日の診療時間外に「昨夜から痛くて眠れなかった」「休みの間ずっと我慢していた」というご相談で来院される患者さんが少なくありません。この記事では、夜間・休日に歯が痛くなったときにまず取るべき行動、自宅でできる応急処置の注意点、そして「これは様子を見てよいのか、すぐ受診すべきなのか」の目安を、歯科医師の立場から整理してお伝えします。
夜間や休日に歯が痛くなったら、まず何をすればいい?
痛みの種類と経過時間を確認する
まず落ち着いて、痛みの性質を観察してください。ズキズキと脈打つように痛むのか、冷たいものにしみる程度なのか、噛んだときだけ痛むのかによって、原因も緊急度も異なります。何もしなくても持続的にズキズキ痛む場合は、歯の神経(歯髄)に強い炎症が起きているサインであることが多く、冷やしたり痛み止めを使ったりしても一時的にしか和らがないことがあります。一方、特定の食べ物がしみる程度であれば、応急処置をしながら診療時間を待てるケースも少なくありません。
休日夜間急患診療所という選択肢
歯科診療所の多くは個人開業のため、休日や夜間の診療体制が十分でないのが実情です。日本歯科医師会によると、歯科診療所の多くは、個人開業の歯科医院のため、日曜、祝祭日、年末年始などの休日や、夜間の診療に対応している診療所が少ないのが現状です。そこで各地域の歯科医師会が行政と連携し、各都道府県歯科医師会や地域の歯科医師会が単独で、または、行政と協力したりして診療所を開設し、休日夜間の歯科診療を行っているケースがあります。ただしこうした急患診療所は、応急処置が中心となることが多い点は理解しておく必要があります。
両国が位置する墨田区でも、区の公式情報として休日診療の体制が案内されています。墨田区の公式ページによると、区内の歯科・整形外科が当番制で休日診療を行っており、曜日は毎週日曜日・祝日・年末年始(12月29日から1月3日まで)、時間は午前9時から午後5時までで、必ず事前に電話で予約してくださいとされています。当番医は日によって変わるため、痛みが強く休日中にどうしても受診したい場合は、まず墨田区の案内窓口や当番歯科医院に電話で確認するのが確実です。
当院(両国)での考え方
当院では、両国駅から徒歩3分という立地を活かし、土曜日も平日と同じ時間で診療を行っています。夜間や日曜日の急患には対応できない時間帯もありますが、「痛みが強く、次に開いている日まで待てそうにない」という場合は、翌診療日の早い時間帯にご連絡いただければ、優先的に状況をお伺いするよう努めています。まずは無理に我慢を続けるのではなく、応急処置で痛みを抑えながら、開院しているタイミングで早めにご相談いただくことをおすすめしています。
自宅でできる応急処置ー冷やし方・市販薬の使い方の注意点

冷やす際の注意点
腫れや熱っぽさを伴う痛みには、頬の外側から冷やすことで血管が収縮し、一時的に炎症や痛みが和らぐことがあります。ただし氷を直接肌に当てると刺激が強すぎるため、濡らしたタオルや保冷剤をタオルで包んでから当てるようにしてください。冷やしすぎるとかえって血流が悪くなり痛みが増すこともあるため、心地よいと感じる程度にとどめることが大切です。反対に、入浴や飲酒などで体を温める行為は血流を促進し、炎症部位の腫れや痛みを強めてしまう可能性があるため、痛みが強いときは避けたほうが無難です。
市販薬の使い方と注意点
強い痛みがあるときは、市販の鎮痛剤(ロキソプロフェンやアセトアミノフェンを含むもの)を用法・用量を守って服用することで、一時的に痛みを抑えられる場合があります。ただし市販薬はあくまで痛みの症状を一時的に緩和するものであり、虫歯や歯周病そのものを治すものではありません。痛みが治まったからといって受診を先延ばしにすると、炎症が進行し、後日より大掛かりな治療が必要になることもあります。また、持病で服薬中の方や妊娠中の方は、市販薬の成分によっては注意が必要な場合があるため、薬剤師に相談したうえで使用してください。当院では全身疾患をお持ちの患者さんの診療にも対応しており、糖尿病や抗血栓薬を服用中の方の治療実績もありますので、持病がある場合は普段からかかりつけの歯科医院に相談できる関係を作っておくことをおすすめします。
やってはいけないこと
痛みがあるときに、患部を指や舌で頻繁に触ったり、爪楊枝で刺激したりするのは、炎症を悪化させる原因になります。また、飲酒は血行を促進し痛みを強めるおそれがあるため控えてください。横になると頭部への血流が増えて痛みを感じやすくなることがあるため、就寝時は上半身をやや高くする姿勢が楽に感じられる場合があります。以下に、自宅でできる対応とその注意点を整理します。
| 対応 | ポイント | 注意点 |
|---|---|---|
| 冷やす | タオル越しに頬の外側から | 冷やしすぎない・当てすぎない |
| 市販の鎮痛剤 | 用法・用量を守って服用 | 根本治療の代わりにはならない |
| うがい・清潔保持 | ぬるま湯で優しく行う | 強くゆすがない |
| 安静にする | 上半身を軽く起こして休む | 飲酒・喫煙・激しい運動は避ける |
歯茎の腫れ・詰め物が取れた…こんな症状は放置して大丈夫?

歯茎の腫れ・膿は歯周病や歯根の炎症のサイン
「歯茎が腫れてきた」「白っぽい膿のようなものが出る」という症状は、歯周病や歯の根の先の炎症が進行しているサインであることがあります。日本歯周病学会のQ&Aでは、歯肉に慢性の炎症があるところは、通常は痛みを感じませんが、体調を崩したときなどに免疫力が弱まってひどくはれることがあると説明されています。また、しっかり歯磨きをしていても歯の根の部分の歯茎が赤く腫れる場合には、①歯の根(歯根)の先に膿の袋が出来ている、②歯根が割れているといった原因が考えられるとされています。
さらに、同学会が公表している歯周治療のガイドラインでは、歯周膿瘍について歯周組織内に発生した限局性の化膿性炎症により、局所の組織融解と膿の貯留を呈する状態と定義されており、原因となる部位付近の歯肉に限局性の発赤,腫脹がみられ,疼痛を伴うことが多いとされています。このような急性の腫れは自然に軽快することもありますが、体調によって繰り返し悪化する可能性があるため、痛みが引いた後も放置せず、歯周病治療を含めた根本的な診断を受けることが望ましいといえます。
詰め物・被せ物が取れた場合
詰め物や被せ物が急に取れると驚かれる方が多いですが、多くの場合、その下の歯自体に虫歯が再発していたり、隙間から細菌が入り込んでいたりすることが原因です。取れた詰め物・被せ物はできれば捨てずに保管し、できるだけ早く歯科医院に持参してください。放置すると、露出した歯の表面がさらに欠けたり、隣の歯が動いてかみ合わせがずれたりすることもあります。当院では、取れてしまった詰め物・被せ物の状態を確認したうえで、再装着が可能か、あるいはセラミックなど別の素材での再治療が必要かを診断し、患者さんの希望に応じた選択肢をご提案しています。
歯が欠けた・抜けた場合(外傷)
転倒やスポーツ中の衝突などで歯が欠けたり、完全に抜け落ちてしまったりした場合は、時間との勝負になることがあります。東京歯科大学の資料では、永久歯が完全に抜け落ちた場合の応急処置について、現場での応急処置で重要なことは,脱落した歯を清潔で湿潤した状態に保っておくことです。最も適しているのは歯の保存液(歯牙保存液「ネオ」R)ですが,身近なものでは牛乳が適しているという実験結果が報告されていると解説されています。また同資料では、再植までの時間と予後の関係について、これらに浸漬されて搬送された歯は生理食塩水で洗浄後に,セメント質と歯根膜を機械的に損傷しないように咬合関係を確認して再植し,隣在歯と固定しますとし、再植歯の経過観察を行った論文では,30分以内に再植された症例は2年後に90%が歯根吸収を起こさないのに対して,2時間以上経過してから再植された症例は2年後に95%に歯根吸収を起こしていたと報告されています。札幌医科大学口腔外科の案内でも、受傷により歯が欠けた、折れた、抜けてしまった場合、歯の破片や歯自体があれば生理食塩水や牛乳を湿らせた清潔なガーゼで包み、持参して下さいと説明されており、歯を乾燥させないことがその後の治療の選択肢を広げる鍵になります。歯根の部分(口の中に入っていた部分)には触れず、歯冠部分だけを持つように注意してください。
我慢の限界はどこ?受診の目安とセルフチェック
すぐに相談を検討したい危険サイン
以下のような症状がある場合は、応急処置だけで様子を見続けず、できるだけ早く歯科を受診することを検討してください。
- 何もしなくても持続的にズキズキ痛み、市販薬でも痛みが十分に和らがない
- 顔の輪郭が変わるほど頬や顎の下が腫れてきた
- 38度以上の発熱を伴う、または倦怠感が強い
- 歯が完全に抜け落ちた、大きく欠けた
- 膿や出血が続き、口臭が急に強くなった
全身疾患をお持ちの方・妊娠中の方の注意点
糖尿病や高血圧、抗血栓薬を服用中の方は、炎症が全身に影響しやすかったり、応急的な処置後の出血リスクが変わったりすることがあります。また妊娠中の方は、使える薬剤やレントゲン撮影のタイミングに配慮が必要です。当院ではマタニティの方の診療や、全身疾患をお持ちの方の全身管理に配慮した診療体制を整えていますので、持病や妊娠中であることを伝えたうえで、我慢しすぎずにご相談いただくことをおすすめします。強い不安や痛みで治療そのものに緊張してしまう方には、静脈内鎮静法を用いた対応も選択肢としてご案内できます。
早めの相談が結果的に負担を減らす
痛みを我慢する期間が長くなるほど、炎症が周囲の組織に広がり、後日の治療内容が大きくなる傾向があります。当院は両国駅から徒歩3分という立地を活かし、土曜日も平日と同じ時間で診療しておりますので、「平日は仕事で行けない」という方も含め、休み明けや土曜日を利用して早めにご相談いただくことをおすすめしています。
まとめ
- 夜間・休日に歯が痛くなったら、まず痛みの性質(持続痛か一時的な痛みか)を確認し、地域の休日急患診療所や当番歯科医院の情報を確認することが第一歩です[1][2]。
- 自宅では、頬の外側からの冷却と市販鎮痛剤の適切な使用で一時的に痛みを和らげられますが、これらは根本治療の代わりにはならず、飲酒・喫煙・患部への刺激は避けるべきです。
- 歯茎の腫れや膿は歯周膿瘍など炎症のサインであることがあり、症状が引いても放置せず歯周病治療を含めた診断を受けることが望ましいとされています[5][6]。
- 詰め物・被せ物が取れた場合は保管して持参し、歯が抜けた・欠けた場合は乾燥させず牛乳や生理食塩水で湿らせて速やかに歯科を受診することで、歯を残せる可能性が変わってきます[3][4]。
- 発熱や顔の腫れ、持続する強い痛みがある場合は我慢を続けず、早めの受診を検討してください。
両国で夜間や休日の歯の痛みにお困りの方は、両国駅から徒歩3分の当院までご相談ください。土曜も平日と同じ時間で診療しておりますので、休み明けや週末を利用して早めにご来院いただけます。当院での受診が初めての方は、初めての方へ(初診の流れ)のページで診療の流れをご確認いただけますので、ぜひ事前にご覧ください。
参考文献
[1] 日本歯科医師会「歯科医師の仕事(休日急患事業)」jda.or.jp
[2] 墨田区「休日・救急診療」city.sumida.lg.jp
[3] 東京歯科大学「口腔外科系Q&A:永久歯の脱臼の場合、再植する基準は何ですか」ir.tdc.ac.jp
[4] 札幌医科大学医学部口腔外科学講座「外傷」web.sapmed.ac.jp
[5] 日本歯周病学会「歯周病Q&A:歯周病の症状」perio.jp
[6] 日本歯周病学会「歯周治療のガイドライン2022」perio.jp